Mirage / Klaus Schulze


ポリドール株式会社発売の「ジャーマン・ロック・コレクション」の宣伝文句には、この「ミラージュ」について、「77年発表の8作目。中期クラウス・シュルツ・サウンドの完成をみた傑作アルバム。ジャケット通り淡い色彩感のあるサウンド」と紹介されています。ファースト・ソロ・アルバム「イルリヒトIrrlicht」が1972年ですから、意外と多作という感じを受けますね。

このアルバムは、アナログ・レコードのA面が「天鵞絨(ビロード)の航海VelvetVoyage」という名前で、合計27分24秒。6つのパートに分かれています。各パートは「1984年1984」、「飛翔体Aeronef」、「蝕Eclipse」、「放射Exvasion」、「清らかな星の間隙Lucidinterslace」、「旅路の果てDestinationvoid」、とタイトルが付けられています。荒涼としたシンセサーザーの音の波が、徐々にうねりを感じさせるように高まっていきます。

B面は「水晶の海CrystalLake」という名前で、29分05秒。これも6つのパートに分かれていて、「樹林の囁きXylotones」、「蒼い水紋Cromwaves」、「暗柳の夢Willowdreams」、「湖面の影Liquidmirrors」、「春の舞踏Springdance」、「訣れ(わかれ)ABientot」、とタイトルが付けられています。この面は、スティーブ・ライヒSteveReichのミニマル・ミュージックを感じさせるようなシロフォンxylophoneの繰り返しメロディーで始まります。これがシンセサイザーではないところがいいですね。いや、シンセサーザーでないと思いますけど、シンセサイザーなのかなあ。そして張りのある太いシンセサイザーの音が加わり、リズムの頭がずれるように感じさせてくれます。続いて静かなパート。ノイズ成分をふんだんに使ったシンセサイザーが無常感を高めます。そしてまた早目のリズムが沸き上がるようなってきて、最後は感動的に盛り上がり終局を迎えます。

このアルバムは、1977年にアイランド/東芝EMIから発売された、日本盤のアナログ・レコードです。

1998.8.29