Strange Weather / Marianne Faithfull


俺はアルバム「ブロークン・イングリッシュ」でマリアンヌ・フェイスフルを初めて聴き感動した。彼女独特のしわがれ声は一度聴いたら忘れることはないだろう。だが「ブロークン・イングリッシュ」よりもこのアルバムの方が、語りかけるようなマリアンヌ・フェイスフルの魅力が十分に楽しめる。

このアルバムに収められたのは全部で11曲。各曲ごとに参加ミュージシャンが詳細にクレジットされている。マリアンヌ・フェイスフルをサポートする主なメンバーは、ビル・フリゼールBILLFRISELL(Guitar)、フェルナンド・サウンダースFernandoSaunders(Bass)、J.T.ルイスJ.T.Lewis(Drums)で、曲によってはロバート・クインRobertQuine(Guitar)、マイケル・レヴィンMichaelLevine(Violin)、シャロン・フリーマンSharonFreeman(Piano)、クリス・ハンターChrisHunter(Flute,AltoSaxophone)、ガース・ハドソンGarthHudson(Accordians)、ウィリアム・シメールWilliamSchimmel(Accordians)、マック・レベンナックMacRebennnack(Pioano)、スティーブ・スレイジルSteveSlagle(AltoSaxophone)、ルー・ソロフLewSoloff(Trumpet)らが参加している。

アルバム中で特に印象深いのは、全面的に参加しているビル・フリゼールの漂うようなギターの音だ。存在感のあるマリアンヌ・フェイスフルのボーカルに対照的なギター・サウンドだが、互いに絡みながら都会的なクールな雰囲気を出している。特にアルバム冒頭の「ブルーヴァード・オブ・ブロークン・ドリームス」では、マイケル・レヴィンのバイオリンの音とビル・フリゼールのギターが絶妙にブレンドされたアレンジは見事だ。また3曲目にはビリー・ホリデイで有名な「イエスタデイズ」が歌われる。4曲目「サイン・オブ・ジャッジメント」では、ビル・フリゼールがカントリー調のスタンダードなアコースティック・ギターを弾き、マリアンヌ・フェイスフルのボーカルとのデュエットが楽しめる。

そして10曲目はローリング・ストーンズのミック・ジャガーMickJaggerとキース・リチャーズKeithRichardsによって書かれたバラード「アズ・ティアーズ・ゴー・バイ」だ。ここでもビル・フリゼールのギターが素晴らしい雰囲気を醸し出しているが、さらにアコーディオンを加えたアレンジが秀逸だ。アコーディオンはこのほか5曲目の「ストレンジ・ウェザー」でも使われていて、独特の透明感を強調している。

このアルバムは1987年に発表された。このCDはアイランド・レコードIslandRecordsLtd.から発売された仏盤を、マーキュリー・ミュージックエンタテイメント株式会社/ポリグラム株式会社が日本語の解説を付けて国内販売したものだ。


2001.7.31