FLASHにおける描画の基本

1.画面の構成

 

FLASHを動かすと画面は主として6つの部分で構成されている。

(1)メニュー・・・FLASHウィンドウの上部に並んだメニュー

「ファイル」「編集」「表示」「挿入」「修正」「制御」ライブラリ」「ウィンドウ」「ヘルプ」がある

(2)標準ツールボックス・・・メニューの下に並んだアイコン

「新規作成」「開く」「保存」「プリント」「プリントプレビュー」などがある。アイコンの上にマウスの矢印を重ねて数秒じっとしていれば、そのアイコンの名前がバルーンヘルプされると同時に、使い方の簡単な説明がウィンドウの一番下「ステータスバー」に表示される。

(3)描画ツールボックス・・・絵を書くためのツールが集まったもの。

(4)拡張機能ボタン・・・描画ツールボックスを選んだときに、それぞれの拡張機能が使えるもの。

(5)タイムライン・・・数字で示された定規のような部分。ここに並んだセルは時間の流れをあらわす。

(6)ステージ・・・絵を描く部分。白い部分からはみ出ると、最終的に画面に表示されない場合がある。

 

2.描画ツールの使い方
 

描画ツールを選んでアイコンをクリックすると、それぞれのツールに使える拡張機能ボタンが表示される。まず次の描画ツールを使ってみよう。

(1)矢印ツール・・・ステージに描かれた絵はペイントのような「ビットマップ画像(ラスタ画像)」と異なり、それぞれが線や塗りの部品となっていて、後から部品ごとに編集することが可能になっている。そのとき線や塗りを選択するときに「矢印ツール」を使う。「矢印ツール」で選択されたものは、一時的に網掛けの表示になる。拡張機能には「スムーズ」「ストレート」「回転」「伸縮」がある。「スムーズ」と「ストレート」線の形を変えるもので、「回転」と「伸縮」は選択されたもの全体を変形するもの。

(2)ペンツール・・・線を描くツール。「ペンモード」を「ストレート」にするとカクカクした角張った線になり、「スムーズ」にすると柔らかい線になる。「インク」ではマウスの軌跡がそのまま線として表現される。「カラーの指定」「線の太さ」「線のスタイル」を変更すると、様々なタッチの線を引くことができる。

(3)バケツツール・・・線で閉じられた面を色で塗る。「隙間の大きさ」を選ぶことで、線に隙間があっても塗りつぶすことができる。「塗りの固定」と「塗りの変形」は、グラデーション塗りのときなどに効果を示す。

(4)消しゴムツール・・・描いた絵を消すことができる。「消しゴムモード」で線だけを消したり塗りだけを消したりすることができる。「流し消す」は線や塗りをクリックすることで消していく方法。「消しゴムの形」は大きさの異なる丸と四角が選べる。

 

3.バケツツールで塗る工夫
 

「バケツツール」では線で閉じられた部分しか色を塗ることができない。背景に色をつけるときは、「修正」メニューの「ムービー」で背景色を変えるか、もしくは背景全体を線で囲んでおかなければならない。

閉じた線のように見えても色が塗れない場合がある。FLASHで描かれた線は、その幅の中心によって閉じられているか開いているかが判断される。描かれた線が閉じられているかどうかを確認するためには、「表示」メニューで「アウトライン表示」にする。通常の描画では、「表示」メニューの「アンチエイリアス」にしておくのが良い。

「大きい隙間を閉じる」を選んでも塗れないほど大きな隙間のある範囲を塗りたいときには、「虫めがねツール」を使って絵を縮小すればよい。絵を縮小すればFLASHの描画において、隙間が小さくなったと処理される。

 

4.ベクトル画像の特徴
 

FLASHで描いた絵は「ベクトル画像」と呼ばれる。ベクトル画像を扱うソフトのことを「ドロー系ソフト」と呼ぶこともある。ベクトル画像は描いた線の「始点」と「終点」の位置や線の「太さ」や「色」などの属性によって表現される。一度描いた線や塗りも、これらの属性を変更することで、形を変えたり、太さや色を変えたりすることができる。

これに対して「ペイント」などのソフトで描いた絵は「ラスタ画像」と呼ばれる。ラスタ画像を扱うソフトのことを「ペイント系ソフト」と呼ぶこともある。ラスタ画像は画面を「ピクセル」と呼ぶ点で構成し、その点に色を与えることで、全体としてまとまった絵となっている。

「ペイント」で描かれた「ラスタ画像」は虫めがねツールで拡大してみると、斜めに描かれた線や曲線はギザギザして見える。しかしFLASHで描かれた「ベクトル画像」は、拡大しても滑らかなまま表示される。

「フォトショップ」など写真を扱うソフトは「ペイント系ソフト」の一種で、「イラストレータ」は「ドロー系ソフト」の代表。

ソフトによっては両方の描画方式をサポートしているものもある。

 

5.描画のポイント
 

ペンツールやバケツツールの使い方は「ペイント」のような「ドロー系ソフト」と似ているが、矢印ツールで選択して線や塗りの属性を変えたり、消しゴムを使うときに「ドロー系ソフト」独特の使い方があらわれる。もし行った操作が思ったようにならなかったら、「取り消し」ボタンを押すと、一つ前の状態に戻るので、慌てず活用したい。

描いているうちに、思ったイメージからどんどん隔たっていく場合がある。そのときは修正で取り戻そうと思わず、思い切って最初からやり直す方が良い場合も多い。「せっかく描いたのに」という気持ちも起こるが、ツールの使い方のトレーニングにもなると思ってやり直すとよい。2度目に描くときは描き方も身についているので早く描ける。

ツールボックスが画面から消えていたら、「ウィンドウ」メニューの「ツールボックス」で表示させることができる。ここで「標準」「描画」にチェックが入っていればよい。

 

 

平成13年度マルチメディアデザイン授業

〜明石高校+須磨学園高校による〜

(作成:兵庫県立明石高等学校/松本吉生/平成13年4月23日)